|
底知れぬ「命の軽視」が,9月5日にまたも発覚しました。ご承知のとおり,いわゆる「事故米」が食用として転売・転用されていたのです。
今回の事故米は実態は「汚染米」で,残念ながらお馴染みになった農薬のメタミドホス,アセタミプリドに加えて,なんと高い発ガン性のカビ毒「アフラトキシンB1」までも検出されています。
この事故米は,国際的農業合意において日本が義務づけられたミニマムアクセスによって,中国やアメリカ,タイなどから輸入した米のなかにありました。
ミニマムアクセス米に関する正規の手続きでは,検疫所でカビや残留農薬が検出されれば,@廃棄,A返品,B工業用に転用 のいずれかの処分がなされるわけですが,今回は事もあろうにBが食用として日本国中に広く転売されたわけです。そして,さまざまな形で焼酎や日本酒,和菓子,せんべい,らくがん等に混入され,さらには保育園,老人保健施設,レストランなどでも直接,食事用として供されていました。
「工業用」とは,おもに接着剤の原料として使うもののようですが,その事故米しか持っていないはずの接着剤製造会社も米穀販売仲介業者に食用として転売しており,購入した米穀販売仲介業者は同じく食用として再転売していたというから驚きです。利益最優先で流通させた三笠フーズ等の諸社はもちろん,この両社を含め,悪を悪とも思わぬ鬼畜の行為としかいいようがありません。
転売業者の幹部は,事故米でつくられた食品を自分の子や孫や,知人・友人が飲食するかもしれないということを考えたことがあるのでしょうか? それとも,太田農水相(9月18日時点)の発言にあったように「人体に影響はない」ので,自分も平気で口に入れるのでしょうか?
この転売問題の背景には,市場に競争原理を導入するための,米の流通業者参入における規制緩和があるともいわれます。利益を追求するために異業種がこの業界に参入してくるのですから,食の安全や信頼はまったく等閑に付されてしまうのは理の当然でしょう。そうすると,既存の業者も座して死を待つわけにはいかないので,法の網をかいくぐってでも利益を上げようとするかもしれません。「競争原理」一辺倒では,人倫感覚など簡単に吹き飛んでしまいます。
「自民党をぶっ壊した」元首相の「遺産」によって,日本までぶっ壊されるのではないかと心配です。
この規制緩和に対して、厳重な監視の目を光らせなかった政府・農水省の責任は、日本の(特に将来を担う)人々の健康を蔑ろにしたばかりか、米をファンダメンタルとする日本文化の根幹をも揺るがしかねないだけに、余りにも重いものがあります。「二度と繰り返さないように」とは、もう言い尽くされてしまってはいますが、やはり政府をはじめ管轄省庁が、自らを含めた日本の人々の尊厳を心から大切に思い、二度とこのような事件を繰り返さないよう強く求めます。
(龍門 歩)
|