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問題企業 《乱気流No.1/04.09月号》 |
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奇しくも長崎に原爆が投下されてから59年後(2004年)の8月9日,福井県美浜町の関西電力美浜原子力発電所3号機で,タービン建屋内の復水管が破裂し,運転中の原子炉とタービンが相次いで自動停止。破裂した復水管から高温の蒸気が噴き出し,4名もの人が死亡しました。さらに2人が重体,5人が重軽傷を負い,運転中の原発の事故としては過去最悪の規模となってしまったのです。幸い放射能漏れはなかったということですが,一歩間違えば広範囲にわたって大惨事を起こしかねない重大な事故でした。 その後の調べで,破損した配管は本来なら1991年に交換しなければならなかったのに,1976年の運転開始以来1度も,配管の厚さの点検すらしていなかったということです。点検の対象から洩れていたらしいのですが,原子力発電所という大きなリスクをかかえている施設で,そんなずさんな管理は許されません。 ずさんな管理といえば,1999年9月30日(木)午前10時35分ころ,潟Wェー・シー・オー東海事業所の転換試験棟で発生した,いわゆる“東海村臨界事故”も忘れるわけにはいきません。事業所の作業手順書では,ウラン溶液の濃度を均一にするために「貯塔」と呼ばれる装置にウラン溶液を入れて混合することとなっていたのに,実際の作業ではこの貯塔を使わず,ステンレスバケツの中のウラン溶液をビーカーに移し替え,漏斗を使って保守点検・サンプリング用の穴から沈殿槽に注入するという作業が以前から行われていました。その日,3回目のウラン溶液を沈殿槽に注入していたところで,臨界に達したのです。 「臨界」とは,いわば小さな核爆発で,2名の作業員が被曝によって亡くなりました。また,事故発生後の対応の不手際によって臨界が約20時間も続いたため,事故の影響が地域住民にも拡大して大きな社会問題となったのでした。経営効率を上げるために作業形態が勝手に変更されていたうえ,作業員は「臨界」などについて教えられていなかったということです。 さらに怖い出来事があります。生命を乗せ,生命を奪う可能性のある自動車メーカー=三菱自動車グループの“度重なるリコール隠し”です。 横浜で2002年1月,三菱自動車(三菱ふそう)製大型トラックのタイヤが脱落して,母子が死傷した事件の痛ましさは記憶に刻みつけられています。これは,タイヤを装着する,“絶対”に破損してはならないハブの強度が不足していたために起こった事故でした。しかも三菱は,すでに多発していたリコール隠しの更なる悪影響を恐れて事実を隠蔽し,トラック所有者の“整備不良”という形で責任を転嫁するという,信じられない卑劣な暴挙に出たのです。また2002年10月には,プロペラシャフトが脱落してブレーキが利かなくなって道路脇の建物に激突し,男性運転手(当時39)が車外に投げ出されて死亡するという事故も起きました。 さらに,クラッチハウジングの破断,ブレーキ部品の欠陥など,三菱自動車の乗用車においても続々とリコール隠しや虚偽報告が発覚し,はてはフラッグシップ車種であるパジェロでも,炎上などの事故が多発しています。 ある事件が発生すると次々と同様の事件が“起こる”という“不思議さ”はさておいて,企業の業績悪化やイメージ低下を回避するために,三菱自動車が会社ぐるみでリコール隠しを行なったことは歴然としており,犠牲者や被害者はもとより,社会に対して真剣に謝罪し,法において裁かれその罪を償うべきです。 そういえば,三菱のリコール隠しが最初に発覚した2000年には,約13000人の被害者を出した雪印乳業の集団食中毒事件でも,食品工場では考えられない効率最優先・安全軽視の管理実態が明らかになりました。しかも事件発生地=大阪市が調査に入る直前,製造ラインの「ふき取り検査」をするなど,証拠隠しとも受け取れる行為も判明したのです。 それに追い打ちをかけるように2002年1月23日には,子会社の雪印食品による“牛肉偽装事件”が発覚し,とうとう雪印グループ全体が解体に追い込まれました。これは2001年9月11日に日本で初のBSEが発見されてから実施された「国産牛肉の買い取り制度」を悪用して補助金を詐取した事件で,実は雪印より前の2001年10月29日から11月1日にかけて,日本ハムグループでも同じ偽装犯罪を犯していたことも明らかになりました。 その他,企業による人命軽視や金銭問題,社会的責任回避などは,報道されてわれわれが知るだけでも,数え上げればきりがありません。このような実態には,愕然を通り越して慄然としてしまいますが,このグローバル化の時代にあって企業が生き残るためには,企業倫理の徹底を図り社会的責任を果たすとともに,人類社会の未来を俯瞰しながら経営することが最低条件でしょう。遠回りのようでも,けっきょくそれが企業イメージを高め,業績の向上につながる近道なのだと思います。 もっとも,利益追求こそが企業の至上命題。政治同様,期待はいつも裏切られる運命にあるのですが。 |
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