小説・ディジタルホルモン

 現代社会ではテレビやパソコン、携帯電話など、環境を取り巻くほとんどすべてがディジタル化されています。そして、たしかに私たちは「ディジタル手法」の成果に驚異的なまでの恩恵を受け、それを時々刻々活用し、さらに多くのことに応用しようとしています。
 ところが、この「ディジタル的手法」はいまや、科学とテクノロジーの範疇を越え、政治・経済・文化等々において数値化される「もの」「こと」だけに価値を置く思想となってしまいました。その結果、数値化されないイマジネーションや想像力・構想力、共生感や自由・平等などを見落としたり、切り捨てたりしがちです。ということは、「ディジタル的手法」には、人間が人間でありつづけるための「根幹」を揺るがす大きな危険が潜んでいる――そんな気がします。
 私たちはこのまま無批判に「ディジタル手法」と共に歩んでいっていいのか、また、「ディジタル手法」をどのように人類の創造的活動に生かしてゆけばいいのかなどについて、真剣に検討する時期に来ているのではないでしょうか。
『ディジタルホルモン』はこのような観点から、濃密なディジタル環境に曝露された脳内に生成される「ディジタルホルモン」が、脳の正常な働きを阻害し人格を崩壊させ、ついには脳死に至らしめるという設定で、最新のITマンションを舞台に、さまざまな位相のエピソードを織り交ぜて書いた小説です。そして、余韻の残る「未決」のエンディングを締めくくるのは、読者のみなさんひとりひとりです。どうぞ読んでみてください。

『ディジタルホルモン』
  兜カ芸社 発行
  定価 ¥1785
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4835576802/qid%3D1091695293/250-6266410-7813062

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